Wi-Fi 7 の現状や今後

Wi-Fi 7 つまりIEEE 802.11be についての動きが活発化してきています。
ただ、これはまだ海外の事で、日本では未だにWi-Fi 6Eがやっと流通し始めた所であり、製品化するにもまだ多くの問題が残っている状態です。

Wi-Fi 7 の大きな特徴

320MhZ帯へのチャンネル幅拡大

アクセスポイントと端末が6GHz帯を利用して通信する際に利用する周波数の帯域幅を従来の160MHz幅(8チャネル分)から、320MHz幅(16チャネル分)へと拡大する。帯域が倍になるので、単純に速度も従来の2倍となります。

4096QAMによる変調方式の多値化

データを電波で搬送する際の変調方式を従来の1024QAMから4096QAMへと変更する。
電波を細かい搬送波に分けて、そのひとつひとつにてそれぞれのデータを送信するが、1024QAMでは1つの搬送波あたり10bitのデータを送れるが、4096QAMでは12bitのデータを送れるようになる。これにより、単純に従来の1.2倍の通信速度を実現できる。

5GHzと6GHzを組み合わせたマルチリンクオペレーション(MLO)

従来の無線では、2.4/5/6GHzの帯域のうち、どれか1つを選んで接続する方式だったが、Wi-Fi 7では、これら異なる帯域を組み合わせて利用可能になる。
例えば、6GHzで320MHz幅、5GHz帯で160MHz幅×2系統を利用すれば、実質的に2倍の速度を実現できる。
これは最大速度の向上だけでなく、遅延低減にも効果がある。例えば、5GHz帯が混雑している場合でも6GHz帯を使って通信することで、遅延なくデータ通信を行うことが出来る。

上記の技術は、IEEE 802.11beとして規格化が進められており、2023年7月にドラフト4.0が策定予定となっており、正式な策定は2024年12月が予定されている。

日本での現状の課題

320MHz幅の技術的条件とテスト方法が必要

2.4/5/6GHz 帯無線LANの新たな技術・機能に必要な無線諸元
2.4/5/6GHz 帯無線LANと他システムとの周波数共用条件

これは言うなれば、屋内・屋外での電波の出力をどの程度にするかとかが検討されます。
つまり、現状日本ではWi-Fi 7 を運用する為の法整備が整っていない状態です。

クライアント(端末側)の対応も必須

アクセスポイントおよびPCやスマートフォンなどのクライアント(端末)の両方がWi-Fi 7に対応していないと意味がない。

つまり、法的な対応がクリアされ、さらに対応アクセスポイントやクライアントが普及するとなると、やはり本格的な普及はまだ先の話となると思われます。

海外では今年の夏にドラフト4.0準拠の「Draft Wi-Fi 7」として、ほぼ最終規格と変わらない機能と性能を備えた製品が発売されるのではないかと予想されます。しかし、日本では述べたように夏までには不可能な部分が多いので、対応製品はまだ先になると思われます。

スマートフォンについては、フルスペックのWi-Fi 7はハードウェア的な難易度が高い(内部のアンテナ設計が複雑)ため、見送られる公算が現状は高いと思われます。順次機能追加みたいな形で実装されていくのではないかと予想されます。

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